東京大学
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文部科学省科学技術振興調整費「先端融合領域イノベーション創出拠点の形成」
システム疾患生命科学による先端医療技術開発拠点
Translational Systems Biology and Medicine Initiative
Overview
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小宮山総長ご挨拶

小宮山総長
現代社会では、知識の爆発的な増大が進んだ結果、研究領域の極度の細分化が起こり、そのため膨大な知識が体系的に整理されないままになっています。従って、現代社会を先導するためには、卓越した研究を推進しつつ、細分化した知識を相互に関連づけ、研究者が自らを全体像のなかに位置づけることを可能にする「知の構造化」を進めるとともに、これらの先端研究領域の融合を進めることが非常に大切であり、このことにより、学術成果と現代が抱える種々の社会問題とを交叉させることが可能となり、新しい学術領域、社会モデル、産業が産み出されるものと考えられます。

このたび東京大学では、総長室総括委員会のもとに、トランスレーショナル・リサーチに関わる研究者のコミュニケーションの促進と諸課題に関する検討および基礎研究の成果に基づく臨床研究を推進し、その成果を医療の現場に還元することにより我が国のTR促進に寄与することを目的として、新たに東京大学メディカルキューブを発足し、その中核拠点の1つとして「システム疾患生命科学による先端医療技術開発拠点」を設立いたしました。

高齢化の進む我が国では年間死亡数が急増する多死社会を迎え、主要死因としてがんや生活習慣病による動脈硬化症は増加の一途をたどっております。本拠点は、こうした疾患に対し従来の分子を標的として非選択的で副作用のある医薬品や侵襲の大きな医療機器から、人体内の細胞特異的薬品、局所治療機器を開発し、安全安心思いやりの医療技術を低コストで提供するとともに、基礎/臨床/実用化を担う企業が連携し、必要とされる臨床ニーズに対して基礎から応用と臨床評価を繰り返す全く新しいサイクル型の先端融合開発を目指すものです。 (2007年7月2日)

門脇 拠点長のメッセージ

門脇 拠点長
文部科学省科学技術振興調整費プロジェクト、先端融合領域イノベーション創出拠点の形成「システム疾患生命科学による先端医療技術開発拠点」は、医学系研究科、医学部附属病院、先端科学技術研究センター、工学系研究科、疾患生命工学センターなど東京大学の複数の研究部門と複数の参画企業が協働して先端医療技術開発研究を行う拠点形成を目的として平成19年7月に設立されました。わが国はかつてないほどの高齢化社会を迎え、がんや生活習慣病の罹患者数が急増し、健康寿命の短縮や医療費増大などの種々の課題に直面しております。本拠点では、こうした疾患に対して東京大学と世界をリードする技術シーズを保有する企業が、次世代を担う研究者・技術者の育成を図りつつ、将来的な製品化・実用化を見据え研究開発を行っております。

本拠点は、大学の機構改革により学内に本拠点の中核的なスペースを確保し、従来の「基礎―実用化」という一方向型開発拠点ではなく、「臨床―基礎―実用化―臨床」というサイクル型の開発拠点を構築いたしました。またこれまでのような大学と企業の1対1の連携体制ではなく、複数の企業が要素技術を持ち寄り、大学の中核技術と融合させることによって新しいイノベーションを創出しようとする「大学をプラットホームとした新しい連携体制」を確立いたしました。その結果、本拠点では2年余りの間にのべ11社の企業が参画し、29に上る特許を出願することができました。

こうした本拠点の活動は、科学技術振興調整費審査部会による再審査において高い評価を受け、平成22年1月15日、継続課題に採択され、今後さらに7年間研究を継続することが認められました。これも2年余りにわたり当プロジェクトの主旨に基づいて御活動くださいました皆様方の御努力・御尽力の賜物と深く感謝申し上げます。これからの7年間ではさらに新しいイノベーションを創出し、一部の成果については事業化・製品化を実現しつつ、低コストで副作用が少なく低侵襲な革新的医薬品・医療機器の開発を通して、国民により最適な医療の提供を目指して参りたいと思います。(2010年3月12日)

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