東京大学
TSBMI
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文部科学省科学技術振興調整費「先端融合領域イノベーション創出拠点の形成」
システム疾患生命科学による先端医療技術開発拠点
Translational Systems Biology and Medicine Initiative
設立趣旨
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高齢化の進む我が国では1000人当りの年間死亡者数が6人から15人へと急増する多死社会を迎えるが、主要死因はがんと生活習慣病による脳卒中、心臓病である。治療には副作用が多く、コストは高く医療財政は厳しい。本研究は、従来の分子を標的として非選択的で副作用のある医薬品や侵襲の大きな医療機器から、人体内の細胞特異的薬品、局所治療機器を開発し、安全・安心・思いやりの医療技術を1/3以下のコストで提供する開発拠点を構築するものである。そのために、(1)ゲノム科学とシステム科学の融合での病変細胞特異的なタンパク質標的を系統的に同定し、(2)人体に投与しうる人工タンパク質プローブを設計作製し、(3)系統的に体外・体内イメージングを行い、(4)プレターゲッティングと局所治療機器でのピンポイント治療法を開発する。このためには、エピゲノムとプロテオーム解析などシステム生物医学への学融合と、タンパク質化学、イメージング、微細機器の融合的開発が必要であり、in silicoとウェットなタンパク質化学とを結びつけ、イメージングから診断と治療を統合し、イノベーションを創出する。

臨床(患者の試料、情報へのアクセスをもつ)/基礎(遺伝子、細胞など入手でき、理論とシステム的作業が可能)/実用化を担う企業(実用化技術と臨床治験などの資金提供可能)はそれぞれ異なるミッションをもつことに留意し、大学内に(拠点面積をしっかり確保し、)参加企業ごとに異なるスペースを確保する。その上で、試料移転合意システムとタイムスタンプ付き認証メールシステムと、臨床情報および個人情報保護の観点から、基礎から臨床への一方向でない、臨床から基礎、基礎から実用化、実用化から臨床というサイクル型の受け渡しを保証する拠点を作る。総長のもとに協働機関とともに、このサイクル型開発と人材育成を進める若手融合タスクフォース(国際人材、女性研究者支援)を置き、大学の様々な研究者と協働機関の潜在力をフルに引きだすエンジンとする。人材育成においても、タスクフォースが軸となって臨床専門医コースの医師が基礎と実用化を学び、同時に基礎および企業人材が臨床の場で学べる融合博士課程コースを設置し、フェローシップを充実させ中核的人材の育成を進める。拠点初期はタスクフォースが、後半期では育成された人材が拠点の開発を担い、国際的医療技術開発拠点を作り上げる。

本研究拠点の目指すものは、「生命科学情報、疾患知識の構造化」という概念を基礎とし、基礎生命科学におけるゲノム、プロテオームなどを統合し、臨床における疾患関連情報の構造化、多数の協働機関との連携による3要素の融合した医療技術開発拠点の構築という未来指向の研究である。

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